スッペシャルな話

スッペシャルな話

在宅ハロプロDDが語る。この感動を共感したい。

6年越しに広がっていた繭期と黑世界へ続く扉。そしてハロプロという総合エンターテインメント集団。 -リリウムに寄せてー(ネタバレ無し)

 

先日、モーニング娘。'14とスマイレージによって行われた舞台「LILIUM-リリウム少女純潔歌劇-」を観た。

恥ずかしながら、これが初見だった。Twitterのアイコンも鞘師にしてしまっているし、固定ツイートも鞘師について書いたブログ(ただ漏れ出る感情を書き連ねただけのものだけど)にしているのにも関わらず、まだリリウムだけは見たことなかった。

これは、繭期への扉を開いたそんな一人のハロヲタが感じたあれこれの話。

f:id:hodge0525:20200725181436j:image

 

 

永遠の繭期への扉

なぜ急にリリウムを観ることになったのか。もちろん絶賛されている作品だということは知っていたし、ハロプロだけに収まらずTRUMPシリーズなる一見女性アイドルとはかけ離れた人気シリーズの一部であるということも知っている。シリーズ物は好きだし、興味をそそられる要素はたくさんあった。ただそれ以上に、観る者すべてが"絶望"する、"壮絶なバッドエンド"ということも知っていた上、なかなか見ることができなかった。あまりの衝撃にその絶望を数週間引きずるという人もいるそうで、自分の精神がもろいことは自覚しているからそれを引きずっても生活に支障をきたさないタイミングで見ようと思っていた。

 

ところが、7月のある日に鞘師里保が主演で舞台をやるという発表があった。舞台の名は、

黑世界 ~リリーの永遠記憶探訪記、或いは、終わりなき繭期にまつわる寥々たる考察について~

この発表は自分にとってもちろんうれしかった。あの鞘師が、本格的にステージの上に戻ってくるのだ。これ以上に嬉しいことはない。しかし、Twitterなどでいろんな反応を見ているとこの発表はただ「鞘師が戻ってくる」という事実以上のことらしい。自分のような鞘師が大好きな人間よりも、TRUMPファンの人の方が喜んでいるような気もした。どうやら"あの"リリーがTRUMPシリーズに帰ってくる、しかもリリウムと同じく鞘師が演じるということにものすごく感情を揺さぶられ、気持ちが高揚している人が多い。

 

 

「え、ずるい。俺もその感動を味わいたい。」

こう思った故、すぐさまリリウムを観劇した。この感情が、6年間も開かれなかった永遠の繭期への扉をいとも簡単に開いた。

そしてその結果、やはり、素晴らしい舞台だった。メンバーも、作品そのものも。迎えた結末は想像を絶する絶望だったし、現在もしっかりと絶望を引きずっている。そして、「この感動を共有したい!!」と、はーちんやよこやんばりに思っているからこそ、このブログを書いている。

そもそも、このブログでは鞘師の復活にも触れていなくてそのことについてもつらつらと書きたかったが、時期を逃した…

 

あらすじ

(いまさらこのブログでネタバレ無しのあらすじを書くところから始める意味があるかはわからないが、一応導入として。)

ヴァンプと呼ばれる吸血種の少女たちが暮らす療養所である日、シルベチカという少女が失踪する。リリーはシルベチカを探し回るも、なぜかみなシルベチカのことを覚えていなかった。まるで初めからシルベチカなど存在しなかったかのように...

みんなが何かおかしくなってしまったのか?それとも自分が繭期のせいでおかしくなってしまったのか?いや、でも確かにシルベチカは存在したはずだ...

困惑するリリーの前に現れたスノウはこう忠告する。「シルベチカを探さないで。」

 

繭期とは、人間でいう思春期のようなもの。しかし繭期を迎えたヴァンプたちは心身ともに非常に不安定なため、この療養所で暮らしている。そんな彼女たちが最後に目にする現実は、想像することもできなかった絶望だった...

 

舞台作品としてのリリウム

すごい舞台だった。あまりの衝撃に見終わった直後はその感想しか出てこなかった。

脚本もすごい、演出もすごい、音楽もすごい、もちろんメンバーの歌も演技もすごい......上げ出したらキリがないくらいどの部分も切り取ってもすごい舞台だった。

それに加えて、確かに心をエグられる物語だった。相当なダメージ。そしてそれを長いこと引きずっていたのも確かだったが、不思議とすっきりしている自分がいた。心が黒い雲で覆われているようで、実はすごくスカッとしている晴れ空のような気持ちもあった。この理由は何とも形容し難いが、おそらく素晴らしすぎる舞台が見られたおかげで絶望などどこかに飛んで行ってしまったのかも知れない。

実際、物語も途中からシルベチカ失踪の謎が一気に明らかになっていくのだが、その様子は厚い雲でいっぱいの空が晴れていくがそこに広がっていた空の色は真っ黒だった。みたいなそんな展開。もうね、ほんと凄いの。みたらわかる。

 

ハロプロという総合エンターテインメント集団

メンバーについて触れていくと、やっぱりハロー!プロジェクト総合エンターテインメント集団だなと思わされる。も、ダンスも、演技も、はたまたお笑いトークや、ビジュアルに関しても。この舞台に限らずの話だけど、どんな分野に対してもきっとストイックに向き合っているし(メンバーによってその比重は違えど)、それはアイドルという職業だからできることだと思っている。アイドルだからこそ幅広く色んなことができるし、その中で一つ一つのレベルが高いからものすごく惹かれる。先日の小田ちゃんのブログでもこんなことが書かれていた。

逢いたくていま。小田さくら | モーニング娘。‘20 天気組オフィシャルブログ Powered by Ameba

ひとつ…
不躾な事を言わせて頂くと…


「歌上手!アイドルもったいない!」
「アイドルってよりアーティスト!」
というお言葉
もちろん、お褒めの言葉として有り難く受け取っております!


ですが、私はアイドルでいる事が誇らしいですよ〜

歌もダンスもお芝居もモデルもグラビアもトークも全部挑戦できて見て頂けますもんキラキラ
人としての内面や趣味までも!

 

それぞれ全部のレベルが高ければ高いほど
アイドルかなぁ〜と思いますね!

 なんという説得力...!!小田は歌に対してストイックだし、そこの比重がとても大きいとは思うんです。でも、そこに匹敵するくらいビジュアルに対しても気を遣っているし、ダンスや表情の魅せ方もこだわっているし、ライブのMCも面白いものを届けようとしている、ということがファンからもわかるからこその説得力だと思うんです。歌手でもなく、ダンサーでもなく、"アイドル"であることの意味はそこにあるんじゃないかと思います。

 

話を舞台に戻すと、その"アイドル"という職業の一端を担う舞台であり、演技。みんな凄いし、新たな一面を観させられる。

リリウムでいうとかななんがいい意味で期待を裏切られた。今でこそスマイレージ/アンジュルムを支えた2期メンバーの一角でありそんなイメージはないが、当時は何をやってもイマイチな劣等生的ポジションにいた。そんなかななんが演じる男役ってどんな感じなんだろう...?とみるまでは思っていた。特に当時は演劇女子部が発足したてで、メンバーが男役をやるということ自体が新鮮だったのでなおさらその感覚が強かった。しかし蓋を開けてみればかななんはすっかり男子寮で暮らす少年のヴァンプだった。あまり言うとネタバレになってしまうが、あの人とのまさかのデュエットは本当に痺れた。鳥肌止まらなかった。これがもっとたくさんの人に知れ渡ったら、景気もようなるはずや。

 

あともう一つ言うと、このときのばくわら世代が高1というのが信じられない。もはや嘘。鞘師めいめいはこの舞台で主要人物の役割を担っているわけだけど、普段のライブのステージだけでもあんなに凄いのに、舞台でこんなにも魅せられたらたまったもんじゃないよ。小田なんてあれで初舞台よ?なにあの貫禄は?ほんとに人生何週かしてないと説明がつかない。

でも、ばくわら世代が高1ということはあのどぅーは中3なのか...?え、それは本当...?

モーニング娘。'17で卒業した時はもっとアイドルとしての工藤遥が見たかったと思ってたよ。だってめっちゃ可愛いし、めっちゃキラキラしてるし、歌もダンスもどんどんうまくなってたし、キャラ的にも当時の娘。に絶対必要だと思ってた。けどそんなこと思えたのはきっとリリウム見てなかったからというのもあるんだろうなと感じた。これ見せられたら誰も女優としての工藤遥の歩みは止められない。

 

もっと語りたいメンバーはたくさんいる。あやちょが演じた苦悩や、あゆみんの助演の助演っぷりと滲み出るだーいし感、それからマーガレットのハマり具合も。それから3が躍動することによって生まれる、彼女たちの演出の功というのも語りたい。けどネタバレになってしまうし、長くなってしまうので割愛。また時間があればこのブログで、今度はネタバレ含め書きたい。もちろんメンバーについてだけじゃなくて、話の核心や尽きぬ疑問点についても。

 

黑世界へ続く扉は、一つだけではなかった

導入でも話した通り、黑世界という舞台で"あの"リリーが帰ってくるということに対しての気持ちの高揚を感じたかったからリリウムを観たのだが、見終わった今の自分の気持ちは、

 

 

「え、このリリーが帰ってくるの?マジで?エッッッモッ!!」

 という感じ。見事にみんなが感じているこの感動を共有できて非常に満足。もしかしたらリリウムを見ている人からしたらエモいっていう表現は合ってないかもしれないが、リリーが帰ってくるということに加えてそれを演じるのが鞘師里保であるということ。これが非常にエモい。エモいという一言で片づけたくないが、それ以外の言葉でも表しきれないようなこの感情。TRUMPシリーズでは同じ役を同じ人が演じることがあまり無いというからなおさら。

 

そしてもう一つ。黑世界に飛び込む前に、やはりTRUMPシリーズを見ていくべきだろうなと思った。ネタバレの無い範囲でいろんな記事や、シリーズのあらすじを読んでいったが、きっとシリーズの他作品を観ることによってリリウムの世界がもっと深くなるだろうし、黑世界も心の底から楽しめるものになるだろう。このリリウムという作品は自分にとって、この壮大な物語のわずかな序章に過ぎないということは今の状態でも分かる。まだ一つ目の扉を開いただけだった。

 

また一つ、人生の娯楽が増えてしまった。その中身は娯楽を娯楽と感じることができなくなる絶望だけれども。もしかしたら僕も今、永遠の繭期への第一歩を踏み出しているのかもしれない。